はじめに:黒夢の「黒」を司る男
よう、低音の深淵に沈んでいる諸君。
前回はtetsuyaの華やかな世界を堪能したが、今回は少し「毒」のある話をしよう。90年代、名古屋から現れた伝説のユニット「黒夢」。清春の圧倒的なカリスマ性の隣で、誰よりも激しく、誰よりもクールにボトムを支えていたのが人時だ。
当時の俺たちは、彼の弾く「地を這うような重低音」と「パンキッシュな疾走感」に、本能レベルで叩き起こされた。ベース一本でここまで世界観を支配できるのか……そんな衝撃を、今一度呼び起こそうぜ!
1. 略歴と所属バンド:進化し続ける孤高のベーシスト
人時のキャリアは、常に「進化」の歴史だ。
- 名前: 人時(HITOKI)
- 出身: 岐阜県
- 主な活動:
- 黒夢: 1994年メジャーデビュー。初期の耽美的な世界観から、後期のパンク・ハードコアスタイルまで、バンドのサウンドの核を担った。
- サポート活動: 清春のソロはもちろん、土屋アンナ、ROTTENGRAFFTY、DEAD ENDのトリビュートなど、ジャンルを問わず引っ張りだこ。
黒夢が活動休止・解散を繰り返す中で、彼のプレイスタイルも変遷を遂げてきた。だが、どの時代の彼を見ても「一音聴けば人時だとわかる」個性は一切ブレていないんだ。
2. プレイの特徴:鋭利な刃物のようなダウンピッキング
人時のプレイを語る上で、避けては通れないキーワードがある。
- 超高速・超重量級のダウンピッキング: 人時といえば、とにかくダウンピッキングのキレが異常だ。特に後期のパンク路線では、ピックが弦を叩き切るようなアタック音がサウンドの主役だった。
- 空間を埋め尽くす音圧: 黒夢は一時期、ギターレスの編成(ボーカルとベースのみ)でライブを行っていた。ギターがいない不安感を一切感じさせない、あの歪んだ極太のベースサウンドは、全ベーシストの理想形の一つだ。
- テクニカルなスラップと緻密なライン: ただ激しいだけじゃない。初期に見られる歌うようなラインや、ここぞという時に繰り出される高速スラップ。その動と静の使い分けが、彼を「神」たらしめている理由だ。
3. 直近の主な使用機材:こだわり抜かれた「漆黒」のギア
彼のサウンドを支えるのは、職人魂が宿った機材たちだ。
【ベース本体】
長年SCHECTER(シェクター)と契約しており、数多くのシグネチャーモデルを世に送り出している。
- SCHECTER AC-HK: 彼のメインウェポン。テレキャスターシェイプのボディが特徴的。
- 5弦ベース: 近年の多様な楽曲に対応するため、5弦モデルも多用。低音のレンジがさらに広がっている。
【アンプ・エフェクター】
- Ampeg SVT-CL / Hartke: 伝統的なアンペグの歪みと、ハートキーのタイトなレスポンスを曲によって使い分ける。
- Darkglass Electronics B7K: 近年のモダンな歪みサウンドには欠かせないプリアンプ。彼の鋭いアタックをより強調している。
- SansAmp Bass Driver DI: 90年代から続く「人時サウンド」の隠し味。あのバキバキしたニュアンスはここから生まれる。
4. プレイを体感せよ!おすすめ楽曲3選
YouTubeでチェックすべき、人時の「魂」が宿った3曲をセレクトした。
① 少年
黒夢の代表曲。ポップなメロディの裏で、ベースはとんでもないことになっている。
- ここを聴け!: イントロの有名なベースライン。シンプルながら、一音一音に込められたパワーが違う。サビでルートを刻みながらも、時折見せる経過音の入れ方が最高にクールだ。40代ならイントロのフレーズだけで飯3杯はいけるはず。一見簡単に聞こえるがこのフレーズを完全に弾きこなすのは至難だぜ。
② Like A Angel
これは「ベースの歌心」を感じる名曲。tetsuyaのそれとはまた違う、エモーショナルなアプローチだ。
- ここを聴け!: Aメロの動くラインと、サビでの疾走感。特にアウトロに向かって熱量を増していくプレイは、聴いている側の血を沸騰させる。まさに「天使」のように舞い、「悪魔」のように刻む。
③ 後遺症 -aftereffect-
黒夢後期の、凶暴なパンク・ハードコアサウンドを象徴する一曲。
- ここを聴け!: ベースの概念を覆す、暴力的なまでの歪みとスピード。ギターがいないライブバージョンを聴くと、ベース一本でここまで激しい壁を作れるのかと絶望する。人時の「攻め」の姿勢が120%凝縮されている。
おわりに:俺たちは今も、人時のビートの中にいる
人時のベースを聴くと、若かった頃の「根拠のない自信」や「反骨心」を思い出す。40代になって社会に揉まれていても、彼の重低音を聴けば、心の中にある「黒い炎」がまた燃え上がるんだ。
「ベースは守りの楽器じゃない、攻めの楽器だ」 人時は今も、その背中で俺たちにそう語りかけてくれている。
さあ、今日は愛機を少し強めに歪ませて、あの爆速ダウンピッキングに挑戦してみようじゃないか。指が動かなくなったら、それは君が全力で「表現」した証拠だ!

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